一言で派遣といっても、働きかたの違いによって、大きく2種類の派遣があります。
ここではそれについて説明します。
主流と言えるのは、登録型の派遣です。
この章のはじめに、派遣のしくみを説明する際にご紹介した派遣とは、まさにこのタイプです。
派遣社員は派遣会社に登録に行き、自分が希望する仕事を探してもらいます。
実際に派遣先が決まったところで、派遣会社との間に雇用関係が成立することについては、
こちらのコラム派遣労働とはこんなしくみでも説明しました。
もう一つ、常用型の派遣というのがあります。
こちらは、仕事のある・なしに関わらず、あらかじめ派遣会社との間に雇用契約を結んで、
派遣会社の正社員や契約社員になるというスタイルです。
つまり、いったん派遣会社に正社員や契約社員として入社した上で、
派遣先企業に配属になって仕事をするというわけです。
登録型の派遣のほうが主流と言ったのは、それだけ多くの仕事があるのが登録型だからです。
一方の常用型の派遣の仕事には、電気・機械系のエンジニアや
ITエンジニア、化学・バイオ・メディカル系の研究職や開発職が多いのが特徴です。
最近では、事務職にも常用型の派遣を導入する派遣会社が一部出てきています。
ここからは、業界の専門的で少々ややこしい話になりますが、
参考までに覚えておいていただくと役立つと思うのでお話しします。
2015年9月30日の労働者派遣法改正まで、
登録型の派遣を扱う事業を「一般労働者派遣事業」、
常用型の派遣を扱う事業を「特定労働者派遣事業」と呼び、
はっきりと区別していました。
派遣会社としての許可を受けるしくみも両者で分かれていて、
一般労働者派遣と特定労働者派遣の両方を扱う派遣会社、
一般労働者派遣を専門に扱う派遣会社、
特定労働者派遣だけを扱う派遣会社と、3種類があったのです。
法改正前にも、一般労働者派遣事業について認められれば特定労働者派遣事業も行うことができたため、
大手派遣会社はたいてい両方の事業を行っています。
特定労働者派遣専門の派遣会社には小規模なところも多く、
今回の法改正により許可基準が一本化されることで、
そうした会社が淘汰されるのではないかと言われています。
もし派遣の仕事を探す際に、「一般派遣」「特定派遣」といった言葉にぶつかったときは、
「法改正前の名残りで使われている言葉なんだなあ」という程度に理解していただければ大丈夫です。
この機会にぜひ、「一般派遣=登録型の派遣」「特定派遣=常用型の派遣」と覚えておきましょう。
なお、派遣会社による求人広告で、「派遣社員募集」とうたっているのは登録型の派遣の仕事を募集しています。
また、「正社員あるいは契約社員募集」と記載されているのは、
いったん派遣会社の正社員あるいは契約社員として雇い入れた上で派遣する、常用型の派遣です。
同じ派遣でも、入口となる雇用形態に違いがあることも覚えておいていただくと、仕事を探す際にスムーズです。
実は派遣の種類にはもう一つあります。
それが、「紹介予定派遣」です。
これは、人材の直接雇用を望む企業と、正社員や契約社員になりたい求職者との仲を、派遣会社が取りもつためのしくみです。
仕事を求めている人は、まず派遣会社に登録し、仕事を探してもらいます。
このとき、いずれは正社員や契約社員として採用したいと考えている派遣先企業に絞って、
仕事先を紹介してもらうというのが紹介予定派遣の特徴です。
そこで、最初は派遣社員として仕事を始めます。
派遣期間が満了になるタイミングで、派遣社員と派遣先企業の双方に意思確認をし、
どちらもが直接雇用を望んでいれば、派遣社員から正社員や契約社員へと雇用形態を切り替えるのです。
派遣期間は、いわば双方にとってはお見合い期間。
働く側にとっては、派遣会社に間に入ってもらうことで、自分が入社したいと思う会社であらかじめ仕事を体験し、
中に入ってみないとわからない会社の制度や文化、雰囲気などを確かめられるという点がメリットです。
紹介予定派遣については、派遣会社によって積極的に取り組んでいるところと、あまり扱っていないところに分かれますので、
登録の際に確認してみるといいでしょう。あるいはそれぞれの派遣会社のホームページを見ると、ある程度わかります。
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