日本テレビ系のドラマ『ハケンの品格』の主人公、女優の篠原涼子さん演じる大前春子はご存知でしょうか。
ドラマの中で、春子は派遣会社の特Aランクの派遣社員。スキルが誰よりも高く、仕事はスピーディーで的確。20個以上の資格をもっていて、場面に応じてそれらを柔軟に活かし、活躍する姿も鮮やかでした。
ここで触れたいのは、春子の「特Aランク」というポジションについてです。
派遣会社によっては「Sランク」などとも呼ばれますが、要するに派遣社員としては最高ランクの評価を得ており、時給もほかの派遣社員より圧倒的に高いのがこのポジションです。
ところが、ドラマに出てくる春子は、職場での態度は無愛想だし、何か発言をするとなると、相手の立場も考えずに正論をズケズ ケと吐いて嫌われるなど、ちょっと人を苛立たせる存在です。
もちろんこれはドラマならではの演出で、回を重ねるごとに春子の本当は人に優しい思いやりのある性格や、義理がたい面が明ら かになっていき、同じ職場の人にもそれが伝わっていく様子が描かれていました。
しかし、最初は型破りなほど感じが悪い印象を職場で持たれます。
何が言いたいかというと、もしこの大前春子が実在していて、私の会社に派遣社員登録をしていたとしたら、とても特Aランクは つけられないなあということなのです。
せいぜいが特Aの2つ下、Bランクといったところでしょうか。
このランクづけは、何を基準に行われるのでしょうか。
いわゆるスキルの高さ、たとえばワードやエクセルを完璧に使いこなせるとか、英語の翻訳ができるとか、CADで設計図を描けるなど、他の人は到底及ばない特技をもっていればいいのかというと、実はけっしてそうではありません。
もちろん、世の中でニーズの高い特技をもっていることは、大きなプラス要素になります。
しかし春子のように無愛想でズケズケと発言し、人から疎まれるような態度を取る派遣社員は、やはり実在の世界ではスキルが高いとは言えないのです。
「希望すれば、職場見学も可能」でも「こんな人が職場にいたら、雰囲気が明るくなりそうだな」と人に感じさせることが仕事の上では重要だと述べました。
まさに職場で派遣社員がもっとも求められるスキルとは、それではないかと考えています。
具体的には、笑顔の対応ができるとか、はきはき挨拶してくれるとか、電話の対応で相手を安心させるとか、そういったことです。
人のもっていない特技などなくても、これらの要素をもつ派遣社員は、どの企業、どの職場に派遣しても評価が高く、満足度も十分という結果になります。
もちろん、ただ愛想がいいとか、人あたりがいいとか、そういう単純なことではありません。
職場を明るくできる人というのはたいてい、根本的に考えかたが前向きで、仕事に誠実に取り組み、スキルアップのために努力できます。
また、周りの人への目配りもできて、必要なときにジャストタイミングで必要なことをしてくれるという信頼を勝ち取れます。
仕事ができるのも大事ですが、それ以上にコミュニケーション力も大事ですし、仕事ができる人に見られるようになっていきます。
そういったことの総合評価として、特AランクやSランクの評価がつくのです。
職場での評価が少しずつ上がれば、それに伴い、時給も少しずつ上がっていきます。
たとえば2ヶ月ごとに契約を更新するという案件であれば、2ヶ月に1度、評価をされて、その結果として時給アップのチャンスが巡ってくることになります。
ぜひともそれを目標にして、自分がどんな考えかたや態度、立ち居ふるまいをすれば周りの人に喜んでもらえるのかを日々考え、実践してほしいと思います。
ただし、時給アップについては、派遣社員が自分から申し出て交渉しないと、派遣先企業や派遣会社のほうからは提案してもらえない場合もあります。
契約の更新や、次の新しい仕事の案内というタイミングに、自分からこれまでの成果などをアピールすることも時には必要です。
それと、派遣会社には教育研修制度など、何らかの形でスキルアップを支援する制度が設けられています。
こうした制度は、仕事のオフタイムを使う必要がありますが、積極的に活用すればその分自分に跳ね返ってきます。
単に知識や技能が身につくというだけでなく、それが自分の自信となって職場でも滲み出てくるようになるので、それが人に伝わり、輝いて見えるようになるのです。
ぜひとも派遣の仕事を通して自分を磨き、仕事を充実させて、収入アップも実現してほしいと思います。
そうすることが、オンタイムだけでなくオフタイムを充実させて、あなたの人生そのものを豊かにするはずです。
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